Hudl Statsbomb の On-Ball Value(OBV)モデルは、スカウトと試合分析のワークフローで活用可能なインサイトを提供します。
従来のカウント型統計データは、説明力とわかりやすさの観点から依然として非常に価値があります。さらに一歩進んで、スキルや価値に基づいたモデルを活用することで、チームや選手のパフォーマンスに関するより深いインサイトを得ることができます。
その一例が On-Ball Value(OBV)です。これは Hudl Statsbomb によって開発され、140 以上の大会で利用可能なモデルであり、選手が行う各アクションが得点や失点の確率に与えるプラスまたはマイナスの影響に応じて数値を割り当てます。
これにより、特にボールの前進に関するプレーにおいて、各選手がどれほどの価値を生み出しているのかをより正確に把握することができます。また、リスクとリターンのバランスを評価する上でも有用です。例えば、選手のドリブルやボールキャリーによるプラスの価値が、ボールロストによるマイナスの影響を上回るかどうかを分析することが可能になります。
ここでは、OBV を試合分析とスカウトのワークフローに活用する方法を具体例とともに紹介します。
試合分析における On-Ball Value の活用
対戦相手が最も危険なエリアを特定する
OBVを活用することで、次の対戦相手がピッチのどのエリアで平均以上の価値を生み出しているのかをすばやく特定できます。
さらに詳細に掘り下げることで、そのエリアで最も価値を生み出している選手を特定し、彼らの最も危険なアクション(パス・キャリー)を視覚化できます。
この情報を基に、試合映像やデータをさらに分析し、相手の強みを抑えるための戦略を構築できます。
対戦相手の脆弱なエリアを特定する
逆に、対戦相手がどのエリアで失点するのかを分析することも有効です。
さらに、パスとキャリーのどちらのアクションによって失点するのかを分析することで、対戦相手の脆弱性に関するさらなる洞察を得ることができます。
この情報を出発点として詳細な分析を行い、試合当日の戦略に活かすことができます。
スカウトにおける On-Ball Value の活用
価値の高いドリブラーとボールキャリアの発掘
従来、ボールの前進能力は「ファイナルサードやペナルティエリアへの進入回数」といった指標で測定されてきました。しかし、これらのエリアは恣意的な指標にすぎません。
OBV を活用すれば、選手がボールを運ぶ具体的なエリアの価値を測定できるだけでなく、パスやキャリーの起点や文脈も考慮に入れることで、より包括的な評価が可能になります。さらに、成功したアクションによるプラスの影響と、ボールロストによるマイナスの影響をバランスよく評価できます。
例えば、ドリブルやキャリーによって高い価値を生み出している若手ウィンガーを特定し、さらにデータと映像を分析して、自チームのプレースタイルに最適な選手を選び出すことができます。
また、ピッチの特定エリアにおけるアクションも分析可能です。例えば、中央でのドリブルとキャリーによって最も価値を生み出しているMFや、自陣でボールを受けた後に高い価値を生み出している SB を特定することができます。
リスク/リワードプロファイルの確立
OBV を活用することで、チームのプレーモデルに適したリスクプロファイルを持つ選手を特定できます。
例えば、ハイプレスを採用するチームなら、高リスク・高リターンのパスを積極的に狙う攻撃的MFを許容できるかもしれません(ボールを失ってもすぐに奪回できるため)。
カウンター主体のチームなら、むしろボールロストを最小限に抑え、味方の危険なアタッカーにシンプルにボールを繋ぐMFの方が適しているかもしれません。
OBV を活用すれば、短時間で最適な選手プロファイルを見つけることが可能になります。
意思決定を効率化する高度なデータ
On-Ball Value(OBV)は、Hudl Statsbomb がグローバルフットボール界で信頼される分析パートナーとなる多くの高度な指標やモデルのひとつにすぎません。
「プレッシャー」「パスの足取り」「シュートの強さ」といった指標から、「Statsbomb xG」「xPass」「パスクラスタリング」といった高度なモデルまで、Statsbomb のデータは意思決定者に対し、信頼性の高い実用的なインサイトを提供します。